キッチンのバリアフリー化が求められる背景
日本では高齢化が進み、日常生活のなかで「使いやすさ」や「安全性」が改めて注目されています。特にキッチンは毎日使う場所であり、調理や片付けの際に立ち座り・移動・収納の出し入れなど、多くの動作が求められます。
「立ち上がるのがつらい」「高い収納に手が届かない」「足元の段差でつまずきそうになる」など、小さな不便や危険は、年齢を重ねると大きなストレスにつながります。また、車いすや歩行器を利用する方、小さなお子様を抱える世帯でも、キッチンの使いやすさは暮らしの質に直結します。
こうした背景から、バリアフリーリフォームは高齢者だけでなく、誰にとっても使いやすい「ユニバーサルデザイン」としての価値を持ち、家族全員が安心して暮らせる住まいづくりに欠かせない要素となっています。
バリアフリーキッチンの基本ポイント
キッチンのバリアフリー化で特に重要なポイントは以下の通りです。
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段差解消:床のレベルを揃えてつまずきを防止
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通路幅の確保:車いすや人がすれ違えるスペースを確保
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作業スペースの高さ調整:調理台・シンク・コンロの高さを使う人に合わせる
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収納の工夫:引き出し式や電動昇降で、誰でも楽に取り出せる設計
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操作のしやすさ:タッチレス水栓や押しやすいスイッチを導入
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安全対策:IHクッキングヒーターや火災防止機能付き機器
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床材の選定:滑りにくく、足腰に優しい素材
これらの工夫を組み合わせることで、日常生活の「小さな不便」を解消し、快適で安全なキッチン空間をつくることができます。
リフォームで押さえるべき具体的な工夫
段差をなくす
古い住宅では、キッチンとリビング・廊下の間に数センチの段差があるケースが少なくありません。つまずきや転倒の原因になるため、リフォームの際には床の高さを揃える「フラットフロア化」が基本です。
通路幅の確保
車いすを利用する方には最低80cm、理想は90cm以上の通路幅が必要です。調理中でもスムーズに移動でき、複数人での作業も安心です。
調理台・シンク・コンロの高さ調整
一般的なキッチンの高さは85cm前後ですが、使う人の身長や姿勢によって最適な高さは変わります。リフォーム時には「身長÷2+5cm」を目安に設定すると使いやすくなります。また、昇降式カウンターを導入すれば、家族で高さを調整して利用可能です。
収納の工夫
高い吊戸棚は手が届きにくく、踏み台の使用は転倒のリスクを伴います。最近では電動で昇降する吊戸棚や、引き出し式キャビネットが人気です。奥まで見渡せるスライド収納は取り出しやすく、整理整頓もしやすい点がメリットです。
水栓の工夫
タッチレス水栓は、手が汚れていてもセンサーで水を出し止めでき、衛生的で節水効果も期待できます。レバー式のハンドルなら少ない力で操作でき、高齢者にも安心です。
コンロの選択
火を使わないIHクッキングヒーターは、火災リスクを抑えられる点でバリアフリーに適しています。また、タイマー機能や温度センサー付きで「うっかり消し忘れ」にも対応可能です。
床材
クッション性のある床材や滑りにくいフロアタイルを採用すると、転倒防止や足腰への負担軽減につながります。水や油汚れにも強い素材を選ぶことが大切です。
Panasonic「1.5mmリフォームフローリング USUI-TA[ウスイータ]」
パナソニックの「USUI-TA[ウスイータ]」は、リフォーム用に開発された厚さわずか1.5mmの超薄型フローリング材です。既存の床の上から施工できるため工期も短く、住みながらのリフォームにも適しています。
最大の特長は、わずか1.5mmという薄さ。床の段差をつくらず仕上げられるため、車いすや歩行器の走行がスムーズで、引っかかりやつまずきの不安を軽減します。特にキッチンのように移動が多い空間で大きなメリットを発揮します。
また、薄さだけでなく耐久性にも優れており、車いすのタイヤによる荷重や摩擦にも強い仕様。長期間安心して使える設計となっています。さらに表面には汚れにくい加工が施されているため、油はねや食べこぼしがあってもサッと拭くだけで清潔を保てます。
「薄さ」「強さ」「清掃性」を兼ね備えたUSUI-TAは、バリアフリーを意識したキッチンリフォームに最適な床材といえるでしょう。
それぞれのライフスタイルに合ったバリアフリー
キッチンの使い勝手は、ご家族の年齢・身体状況・暮らし方によって大きく異なります。
「安全性を高めたい」「調理の負担を軽くしたい」「家族みんなで料理を楽しみたい」など、目的に応じたバリアフリーの工夫が必要です。以下では、代表的なライフスタイルごとにポイントを詳しくまとめました。
1. 高齢者が暮らすご家庭の場合
高齢になると、立ち座りや歩行動作が負担になったり、視力や握力の低下から思わぬ事故につながることがあります。
ポイント
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段差をなくす:数センチの段差でもつまずきの原因になるため、キッチンとリビング・廊下との床をフラットに。
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手すりの設置:調理中の立ち座りや移動の際に支えとなる。
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座って作業できるスペース:調理台の一部を椅子に座って使える高さにすることで、長時間の立ち作業を避けられる。
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操作しやすい水栓やコンロ:軽い力で回せるレバー式水栓、火を使わないIHクッキングヒーターが安心。
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収納は引き出し式:奥のものを取り出すのにかがむ必要がなく、腰への負担を軽減。
こうした工夫により、「無理なく・安全に・快適に」料理を続けられるキッチンになります。
2. 車いすや歩行器を使用される方の場合
車いす利用者にとって、キッチンは通路幅や高さが合わないと大きなストレスになります。
ポイント
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通路幅の確保:車いすでの移動には最低80cm、できれば90cm以上が理想。調理中も余裕を持って移動できる。
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オープン設計のシンク・調理台:シンク下やコンロ下に足が入る空間を設け、座ったまま調理が可能に。
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スライド収納:上からではなく横から取り出せる引き出し式収納。軽い力で引き出せる構造が望ましい。
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高さを調整できるワークトップ:電動昇降式のカウンターや吊戸棚で、無理なく必要な高さに調整可能。
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スイッチ・コンセントの配置:低い位置に設置することで、座ったままでも操作できる。
特に「座ったまま使える設計」が重要で、自立した調理をサポートする工夫が求められます。
3. 小さなお子様がいるご家庭の場合
子育て世帯では「安全性」と「お手入れのしやすさ」がポイントです。
ポイント
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火を使わないIHコンロ:お子様の火傷リスクを減らせる。表面がフラットで掃除も簡単。
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チャイルドロック機能:収納やコンロにロックを設け、いたずらや誤操作を防ぐ。
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汚れに強い素材:油はねや食べこぼしもサッと拭き取れる壁材・床材。
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タッチレス水栓:手が汚れていても水が出せるので、子どもと一緒に調理を楽しめる。
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床はクッション性のある素材:転んでもケガをしにくく、足腰への負担も少ない。
キッチンが「学びの場」や「親子のコミュニケーションの場」にもなるため、安全で快適な空間に整えることが大切です。
4. 共働きや多世代同居など家族全員で使う場合
家族の誰が使っても快適であることが重要です。
ポイント
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動線をシンプルに:複数人が同時に調理できるよう、通路を広くとる。
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ワークトップの高さ調整:家族の身長差を考慮して、複数の高さを組み合わせる。
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電動昇降式の吊戸棚:高い場所の収納を誰でも使いやすく。
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ユニバーサルデザイン機器:大きな表示や押しやすいスイッチで、世代を問わず操作しやすい。
「誰かに合わせる」のではなく、「誰でも使える」設計が多世代同居のキッチンには求められます。
代表的なバリアフリー対応キッチン商品
LIXIL「ウエルライフ」
座ったままでも、もっと料理を楽しめるキッチン
「Well Life(ウエルライフ)」は、車いすを利用する方や、立ち作業を負担に感じる方でも、快適に料理を楽しめるように設計されたシステムキッチンです。座った姿勢のまま調理・片付けができるので、無理なく作業が続けられ、料理の楽しみをより身近にしてくれます。新しいレシピに挑戦したり、盛り付けに工夫を凝らしたり──日々のキッチンライフがもっと豊かに広がります。
1. 座ったまま快適に作業できるデザイン
ウエルライフは「使いやすさ」に徹底的にこだわっています。
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足元を広く空けたオープン設計で車いすや椅子でもスムーズに作業可能
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奥行きスリムなワークトップで座ったままでも奥まで手が届く
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高さは1cm単位で調整可能。自分の体に合った高さにカスタマイズできる
この3つの工夫で、「下ごしらえ」「調理」「片付け」まで自然な姿勢でラクに行えます。
2. 水まわりを快適に
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タッチレス水栓ナビッシュ
手をかざすだけで水が出せるため、座ったままでも楽に操作可能。清潔性が高く、節水効果もあります。 -
オールインワン浄水栓
浄水と水道水をワンタッチで切り替えられ、浄水器を別途設置する必要がなく、スッキリしたキッチンを実現。
3. 収納も使いやすく
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オートダウンウォール(電動式吊戸棚)
リモコンで高さを自由に上下できる収納棚。座ったままでも取り出しがスムーズ。 -
クイックパレット
一時置きや水切りに便利な昇降棚。未使用時はコンパクトに収納可能。
4. 調理家電・機器の工夫
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食器洗い乾燥機(浅型タイプ)
車いすに座ったままでも出し入れしやすい設計。後片付けの負担を軽減します。 -
IHコンロ
火を使わず安全。フラットトップで掃除も簡単。温度調節もボタンやタッチ操作で行えるため、ツマミをひねる力が要りません。 -
レンジフード(リモコン操作対応)
高い位置に手を伸ばさず、座ったままでも風量や照明を操作可能。加熱機器と連動するタイプも選べます。
5. シンクの快適性
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浅型シンク
座ったままでも楽に洗い物ができる深さに設計。 -
オプションアイテム(まな板スタンド・水切りカゴ・ワイヤーポケットなど)を組み合わせ、作業効率をさらにアップ。
6. サポートアイテム
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ハンディボックス
調味料や調理小物を整理しながら、2口コンセントで家電使用もスムーズ。 -
サポートバー(シンクキャビネット用)
移動や立ち上がりをサポートし、安心して作業ができる。
7. デザインと収納
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選べる19色の扉カラー
明るいパステル調から落ち着いた木目まで、インテリアに合わせたスタイルが選べます。 -
自由に組み合わせできる収納ユニット
設置スペースや用途に合わせたオーダーメイド感覚の収納が可能。
タカラスタンダード「ライフサポート」
車いすでも快適に使える、ユニバーサル仕様のキッチン
タカラスタンダードの「ライフサポート」は、車いすを利用する方や足腰に不安のある方が、負担を感じることなく使えるように考えられたユニバーサルデザインのキッチンです。コンパクトなサイズ感ながら、調理・洗い物・収納までスムーズに行える機能を備えており、暮らしに寄り添う“安心の使いやすさ”を実現します。
1. コンパクトでも快適なサイズ設計
限られたスペースにも設置しやすいコンパクトサイズ。
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幅・高さ・奥行きを最適化し、車いすに座ったままでも手が届きやすい設計。
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奥行き50cmで奥まで楽に届き、掃除もしやすい。
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狭いアパートやマンションでも導入可能で、限られた空間でも快適なキッチン環境を実現します。
2. 手元で操作できるスイッチ類
照明や換気扇のスイッチはすべて手元に集約。
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立ち上がらずに座ったまま操作可能
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LED照明は省エネで長寿命、作業中の手元を明るく照らします。
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換気扇は煙やニオイをしっかり排出し、快適で清潔な調理空間をキープ。
3. 安全・安心のサポートバー
作業中や移動の際に頼れるハンドバーを設置可能。
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車いすからシンクへ体を寄せるときや、立ち上がる際のサポートに活躍。
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足腰に不安がある方でも、安心して自分のペースで調理や片付けができます。
4. シンクの工夫
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浅型シンクを採用し、前かがみにならずに作業可能。
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水はねを抑え、周囲が汚れにくい設計で掃除もラク。
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手や食器の洗浄がスムーズに行え、身体への負担を軽減します。
5. 操作しやすい大型ハンドル水栓
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握力が弱い方でも手のひら全体で楽に操作可能。
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温度調節がシンプルで、火傷リスクを軽減。
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実用性とデザイン性を兼ね備え、キッチン空間に調和します。
6. IHヒーターで安全調理
標準装備のIHヒーターは、火を使わず安心。
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正確な温度管理で加熱ムラや焦げ付きも少ない。
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フラットな加熱面で、調理後の掃除もサッとひと拭き。
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ガス配管不要で、設置場所の自由度が高いのも魅力です。
7. 使いやすく清潔な収納
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ステンレス製の収納ユニットは、車いすに座ったまま取り出しやすい位置に配置。
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表面は汚れに強く、拭き掃除だけで清潔をキープ可能。
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調理器具や食器をストレスなく収納できます。
8. カラーバリエーション
シンプルで清潔感のあるホワイトを標準設定に、オプションで
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ナチュラルアイボリー:やさしく温かみのある雰囲気
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ライトミディアム:落ち着いたブラウンでシックな印象
から選べます。お住まいの雰囲気やお好みに合わせてコーディネートできます。
クリナップ「コラーノ」
世代を問わず安心して使える、ユニバーサルデザインのキッチン
クリナップの「コラーノ」は、身体への負担を減らし、誰もが快適に調理を楽しめるよう設計されたシステムキッチンです。座って作業できる広いニースペースや、車いすでも動きやすい工夫が随所に盛り込まれています。家族全員が安心して使える、まさに“ユニバーサルデザイン”を体現したキッチンです。
1. セパレートタイプの工夫
セパレートタイプは、豊富なサイズとカラー展開で多様な住まいに対応可能。
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側板を斜めにカットし、車いすでの回転や移動がしやすい設計。
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レンジフードのスイッチを壁面に設置し、座ったままでも操作しやすい。
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サポートバーを取り入れることで、立ち座りや長時間調理時の負担を軽減。
2. ニースペースで快適作業
足元に広いスペースを確保しているため、車いすの方や立ち座りが難しい方でもラクに利用可能。下ごしらえから調理、盛り付けまで自然な姿勢で続けられるので、体への負担を抑えながら快適に作業が行えます。
3. 選べるワークトップ
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ステンレス天板:耐久性が高く、傷や熱に強い。熱い鍋を直接置いても安心。スタイリッシュな光沢で清潔感も抜群。
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人工大理石天板:汚れがつきにくく、継ぎ目の少ない構造で衛生的。美しい模様やカラーで、上質な雰囲気を演出。
4. 大容量シンク
広さに余裕のあるシンクは、食器や調理器具をまとめて洗えるサイズ感。ステンレス製で耐久性が高く、汚れがたまりにくい構造なので、お手入れも簡単です。
5. IHクッキングヒーター
安全性と操作性を兼ね備えたIHを採用。
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火を使わないため、火傷や火災のリスクを軽減。
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タッチパネル操作で、力が弱い方や視力に不安がある方でも直感的に操作可能。
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フラットな加熱面は拭くだけで清掃が完了し、毎日清潔を保てます。
6. 水栓の工夫
レバー式の水栓は、軽い動作で水の出し止めや温度調節が可能。握力が弱い方でも簡単に使え、耐久性とデザイン性を兼ね備えています。
7. カラーコーディネート
ホワイトを基調としたキャビネットに、5色のアクセントパネルを組み合わせ可能。住まいの雰囲気や好みに合わせて、シンプルにも華やかにも仕上げられます。
8. ユニットタイプで効率的に
ユニットタイプは限られたスペースでも効率的に配置できる設計。
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水切り棚で作業スペースを有効活用。
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手元スイッチで照明や換気扇を操作でき、立ち上がる必要がなく安全。
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小さな空間でも機能性を最大限に引き出せます。
補助金・助成制度の活用
キッチンのバリアフリーリフォームでは、国や自治体の補助金を活用できる場合があります。
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子育てグリーン住宅支援事業(2025年度版)
高断熱・省エネ改修と組み合わせて申請可能。 -
介護保険住宅改修費支給制度
手すり設置や段差解消など一定の工事に対し、最大20万円までの支給が可能。 -
自治体独自の助成制度
各地域でバリアフリー化を支援する制度が設けられていることもあります。
リフォームの際には、最新の制度を確認しながら計画を進めることが大切です。
快適で安心なキッチンリフォームを
キッチンは家族の中心となる場所です。小さな段差や使いにくさが、大きな不安や事故につながることもあります。
「安全で快適なキッチンにしたい」「将来に備えて早めにリフォームしたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
→ ご相談・お見積もり依頼はこちらから
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